日大生産工学部建築工学科

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『商品開発』という仕事:筒井 華/YKK AP商品開発部(2003年建築総合コース卒業)

カテゴリ :
建築総合コース
更新日時 :
2003年03月30日

ものつくりの楽しさ

私は、大手サッシメーカーの商品開発部に就職し、丸4年が経ちます。大学3年生のゼミから大学院2年の修士論文に至るまで「開口部の開閉操作性に関する研究」というテーマでシャッターや引き違い戸の操作性について研究をしていました。それがきっかけで、使いやすいサッシについて追及することに興味を持ちサッシメーカーに就職しました。現在は、『商品開発部』という部署で玄関ドア・引戸の開発を行っています。4 年も経つと、実際に自分が手掛けた商品が新築の家の玄関に取付けられているのを見かけたりします。それを見る度に、ものづくりをする仕事に就いて良かったなぁと実感します。と同時に、家の顔となる玄関の開発という仕事に対しての責任を重く感じます。

製品完成までのながれ

一つの商品を立ち上げるために商品開発部が全て動くわけではありません。まず市場の動向を見て『商品企画』という部署が次にどういったコンセプトの商品を出すか企画します。それを元に『デザインセンター』という部署がデザイン案をいくつか提案し、それらの絵から実際にデザインが決まると、『商品開発部』が実際にかたちにするための図面をかきます。この流れを言うと、開発は図面をかくだけの仕事のようですが、企画の段階から要求される性能にするための構造をある程度頭で考え、デザインを選定する際にもおおよその構造を想定しながら、それぞれの部署と打合せを行って開発を進めていきます。商品の構造を一番知っている商品開発部が必要不可欠なのです。

初めて開発した玄関引分け戸のできるまで

設計図の作製

私が初めて主担当となって開発を進めた商品は、玄関の間口が9
尺以上ある昔ながらの純和風家屋に取付けるような引分け戸でした。この商品のコンセプトは、デコラティブで重厚感がある引分け戸ということでした。その印象を出すために、まず枠の断面が今までの直線的なものではなく、曲線的なもので、正面から見た時にも凹凸感がはっきりわかるようなものでなければいけませんでした。デザイン画を図面にするだけなら簡単ですが、実際に凹凸がたくさんある形をアルミでつくるというのは単純ではありません。アルミをその形に押し出した時に形状が不安定なため、図面どおりに形状が定まらないという問題が予め想定できます。アルミを押し出すには数百万円の金型が必要になります。金型を作ってしまってからの失敗は許されないことなのでアルミ押出の部署の人と何回も打合せを行い、最終的な形状を決定します。この最初の設計の段階で、構造が自分の中ではっきりしていないと図面の最終決定はできません。もちろん商品を構成する部材は1
種類ではないので、何十枚もの部材の断面図を同時に進めなくてはいけません。また図面を描いてから実際にアルミの形になってくるまでに最低でも2ヶ月はかかるので、図面を描くスピードも要求されます。この最初の時期が最も残業率が高くなり大変です。

部材・部品の設計

部材の形が決まると今度は部品で、部材どうしを連結する部品、性能を上げるための部品等いろいろな部品の設計をします。部品の場合も図面どおりの形状がでるか部品部と相談しながら図面を描いていきます。部材と部品が決まると今度は実際に工場で生産するための図面が必要になります。部材一つずつの加工図、部品がどこの位置に付いて、部材どうしがどのねじで、何本で連結するのか等、事細かな指示書が必要になります。その際、工場での作業性も考えなければいけません。実際工場で働いたことの無い私は、工場の人にどうしたらいいかを相談して何度も何度も図面を書き直しました。

平面から立体へのよろこび

部材、部品がかたちになると、今度は試作を行います。それまで図面でしか見てなかった平面のものが実際のかたちになるのを見ると、本当にうれしくて、それまでがんばってきたことが報われる瞬間です。しかし、試作してみると実際に組立たないとか隙間ができるとかいろんな問題が出てくるもので、そんな時は上司や先輩に助けてもらいっ放しでした。

仕事の充実感

商品開発は、実際に使う人が使いやすいと感じてもらえるものを設計しなくてはいけないことはもちろんですが、それを作る人にとっても作りやすく、また施工する人にも取り付けしやすい、且つコストができるだけかからないということが要求されます。幅広い知識が必要とされていることを痛感しています。その分、年々自分が成長していることも実感できて、商品開発という仕事に充実感を感じています。


(YKK AP 商品開発部・2003年3 月修了)