日大生産工学部建築工学科

現在地
ホーム  > コラム  > 講演会  > 講演会聴講レポート:小川勝章氏による大学院特別講義(1/22開催)

講演会聴講レポート:小川勝章氏による大学院特別講義(1/22開催)

カテゴリ :
講演会
更新日時 :
2019年01月28日

小川勝章ポスター.jpg

「家+庭=家庭」を聞いて
小室昂久(M1)

日本庭園は日本の美を象徴するものの一つです。母屋からの眺めは季節によって風景が変わり、家の中にいながら四季を感じることができます。庭園を流れる水は滝や小川や池のように形を変え、その流れる音も庭園の魅力の一つだと思います。しかし、日本庭園の真の魅力は本当にそれでしょうか。庭園というものはその時々によって楽しみ方が変わり、毎日使っているお庭でも、突然新しい魅力を発見することもあります。日本庭園が私たち日本人から愛される所以は、宝探しのように、長きにわたり新たな美しさを少しずつ見つけることができるからではないでしょうか。

まず、講演のなかで使われていた「見立て」という言葉に注目したいと思います。写真には白い石敷きの庭園にぽつんと苔の山があり、そこに半分くらい埋まった岩が添えられていました。その白い石と苔と岩が作り出す風景は、「海に浮かんだ島」に見えたり「雲海の上から顔を出す山」に見えたりします。この一見美しいだけの風景は、見た人や見た時間、見た回数によって見え方が変わり、一瞬では捉えきれない魅力が内包されているように思いました。

この点に関して、小川先生は「見えないところに魅力をつくる」と発言されていました。つまり植治が手掛ける庭園の美しさは、一目では気が付かない、暮らしの中で少しずつ発見していくように設計されているのです。庭園の持ち主はその場所の魅力を長い時間をかけてゆっくりと楽しみ、それに掛けた時間がお庭への愛情になり、心から愛された空間に変わっていきます。私たちが観光で訪れる京都の庭園も、二回目、三回目に足を運ぶと、同じお庭でも違った印象を受けるかもしれません。そのため、庭園を訪れた直後に魅力を感じますが、それは庭園が持つ魅力のほんの一部に過ぎないのです。

庭園の魅力は池の深さ、岩の埋まっている部分の大きさ、木々に隠れて流れる滝など、「見えないところ」にも魅力があり「見せない設計」という特有な設計手法が、他の空間設計とは別の魅力を生み出し、人々の心に残る、特別な空間になっているのではないかと感じました。

講演会の様子(小川勝章氏).jpg
<講師紹介>
小川 勝章(おがわ かつあき)氏
作庭家・植治次期十二代
御庭植治株式会社 代表取締役

幼少期の多くを歴代の手掛けた庭園にて過ごす。高校入学時より十一代小川治兵衞に師事し、思春期の多くを庭園掃除にて過ごす。家業に従事しつつ、立命館大学法学部を卒業後、植治における作庭に専念する。
新たな作庭に加え、歴代の手掛けた庭園においても、作庭・修景・維持を続ける。特に近年は七代目が最も精魂を注いだとある庭園において、次代へと繋がる取り組みを重ねている。(御庭植治株式会社HPより)