日大生産工学部建築工学科

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インテリアデザイン

カテゴリ :
教員コラム
更新日時 :
2017年03月18日

インテリアデザインとは

 インテリアデザインとは内装設計とも言いますが、商業ビル・ホテル・病院・オフィスビル等の各種施設の内部の店舗・オフィスのデザイン、エントランス・トイレなどの共用部のデザイン、マンションの住戸内部やエントランスのデザイン、戸建て住戸などのリフォームを指します。最近では、古いレンガ倉庫や古民家をショップやレストランに、まちなかの空家を店舗などに、古いオフィスや団地をシェアハウスにするなどの、リノベーションやコンバージョンといった活用の仕方が増えていることから、インテリアデザインはさらに注目されている分野と言えます。

 建物全体の設計は建築士の資格が必要ですが、インテリアの場合は発注者の信頼を得るための資格がいくつかあります。代表的なものとして、インテリアプランナーとインテリアコーディネーターがあります。インテリアプランナーは多様な建築のインテリアの企画・設計・監理を担う能力を求められる国土交通省が認定する資格試験で、学科と設計製図+パース等を審査します。インテリアコーディネーターはインテリアのエレメントを選び提案する能力を求められる経済産業省系の資格試験で、学科・論文・プレゼンテーションを審査します。いづれも大学生が受験できます。(インテリアプランナーは資格取得には実務経験が必要で、2級建築士を取得すれば可能です)

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インテリアデザインは建築と同じ

 レストランやショップなどのインテリアデザインを、一般的に飾りや装飾をデザインすることのように思われているかもしれませんが、私は建築を考えるのと同じように考えています。例えば、イタリア料理のレストランにはよくカラフルな食器や絵などの装飾が壁にたくさん飾られていますが、何が大切なのかを考えれば、飾りは無くても良いと思います。私がイタリア料理やフランス料理のレストランをデザインした時にオーナーシェフと話をしていて改めて感じたのは、レストランで大切なのは「料理」と「ゲスト」だということです。これらが引き立ち、魅力的に見えて、「ゲスト」同士の会話が弾むことが何より大切で、それが実現できるならば飾りや装飾は無くて良いのです。また、建築設計において、使う人の立場からや内部の空間から建築を考えることは重要ですし、既存の状況や条件をうまく利用して計画をするという意味においても、建築もインテリアも同じです。

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   ビル側の想定した厨房と客席の配置      厨房と客席を逆にした配置計画

関係をデザインする

 加えて、私がレストランをデザインした時には「シェフ」の強い思いがありました。「シェフ」の理想は、小さなカウンターの店で「ゲスト」の目の前で熱々の料理を創り"ハイ! どうぞ"と出して、「ゲスト」の反応を見ながら会話するようなレストランだと言いました。ビルの中の設備はエレベーターの近くに客席を作り、厨房は奥の方に作るように配置されていました。しかし、それでは「シェフ」の言うような「ゲスト」との関係は生まれない!小さいレストランではないのでカウンターの店にはできませんが、近い関係はできるのではないかと考え、思い切って厨房と客席の配置を反対にしてみました。すると、レストランに入ると「ゲスト」はまず厨房の脇を通ります。そこでは「シェフ」が肉を焼く音やバスタを茹でる湯気が立ちのぼるのを見て、いい匂いもして臨場感(シズル感と言います)たっぷり、「シェフ」とも目があって"いらっしゃい!"と声をかけられます。そこを通って奥の客席に至るのですが、このような隠しごとのできないオープンキッチンにすると「シェフ」の見え方も重要です。ここでは換気設備にはお金をかけ、「シェフ」とキッチンがすっきりと魅力的に見えるように作りました。またレストランでは「シェフ」が食材を出し、切り、火を入れ、盛りつけ、運ぶ動線、飲み物やデザートを作って出す動線、食器を下げて洗う動線、「ゲスト」がコートを預け、トイレや会計をする動線、などなど、様々な関係をデザインしなければなりません。

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照明計画

 もう一つとても重要なのが照明計画です。照明デザイナーの岩井達也先生と一緒に計画することが多いのですが、照明さえうまくできれば店舗は半分できたも同然だと思っています。反対に照明についてデザインされていない店舗が世の中にはとても多く、例えば、間接照明を作っていても空調の吹き出し口やスプリンクラーを照らしていたり、明るすぎてガラスに映り込んで夜景が見えなかったり、あるいは余計なものまで見えてしまったり、スポットライトが眩しかったり、などということを多く見かけます。私と岩井先生でデザインしたところでは、全体に暗めにして明るいクロスの掛かったテーブルと料理にスポットを当て、反射した光が「ゲスト」の顔をアッパーライトのように照らすようにデザインしました。すると「ゲスト」が不思議と若く魅力的に見えるのです。また奥に客席を作ったので、壁に照明をつけ布を垂らすことで行き止まり感を無くすと同時に、「ゲスト」の顔を立体的に見える効果も生んでいます。そのように、意味のない飾りや装飾が無くても、メリハリのありながら雰囲気が落ち着き、かつ華やかな空間が生まれたと思っています。また、照明計画とは言っても照明器具があまり見えないのが写真から分かるでしょうか。照明計画とは光の効果をデザインすることなので、器具は見えない方がむしろ良いことが多いと考えています。

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※ここまでの写真は、銀座グラッセ7FのRISTORANTE HIRO GINZA(イタリア料理店)

インテリアデザインで思うこと

 レストランやショップなどの店舗のデザインをして思ったのは、空間に入る前にこう見せて ー 入った時はこう感じさせてー その後これを思わせて、、など空間の演出が建築よりもできることが多いので、そう言ったシークエンスをデザインできて面白いということと、竣工して引き渡した後も人を連れていつでも行けるので、それが嬉しいし楽しいということでした。建築の場合は引き渡した後は内部まで見に行くことができないことが多いのです。また、建築では企画から竣工まで数年かかりますが、インテリアデザインでは企画から出来上がるまで時間が短いのでスピーディに出来上がった姿を見ることが出来ます。しかし反面で残念なのは、店舗は数年〜10年くらいで模様替えをかねてインテリアも変わってしまうことが多いので、作ったものが長い期間残ることが少ないことでしょうか。   (建築計画教授 渡辺康)

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※ミクニ横浜(フランス料理店)